前回は、株をやるなら対面証券もいいけど、普通の人はネット証券のほうがいいねということを書きました。
今回は、少し踏み込んで投資手法について書いていきます。
テクニカル分析、ファンダメンタル分析とは
投資手法には大きく分けて2種類あります。1つ目がテクニカル分析、もう一つがファンダメンタル分析です。
テクニカル分析とは、株式の値動きを予想するときに過去の取引実績やパターンを元に予測し投資していく手法です。代表的なものは、移動平均線、一目均衡表、ダウ理論などがあります。
一方、ファンダメンタル分析とは、企業が出している財務諸表等を元に将来の値動きを予想し投資する手法です。代表的なものはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といったものがあります。また、世の中の代表的なアナリストはファンダメンタル分析を元に話をすることが多いです。
「株は企業業績を表しているものだからファンダメンタルが良い」、「有名なアナリストが言ってるんだからファンダメンタルのほうが優位だ」、「テクニカル分析っていわゆるオカルトでしょ」とお思いの方も多いと思いますが、ファンダメンタル分析には大きなデメリットがあります。
ファンダメンタル分析のデメリット
企業業績の信頼性
ファンダメンタル分析の一番肝心なところは「財務諸表」です。
財務諸表から得られる純利益や収益、キャッシュフロー等をもとにして買おうとしている株が他と比べて割安か割高かを分析します。
では、一番肝心な財務諸表を企業は正確に公表しているでしょうか?
答えは「否」です。
昨今でも、東芝を始め、カネボウ、オリンパス、ライブドアなど粉飾決算を行ってしまった企業が多くあります。しかも、粉飾決算を行っても上場廃止にならない場合があります。
現在の東京市場はある意味やったもん勝ちの状況となっています。
そういった状況の中で、どれだけの企業が正直に財務諸表を公表しているでしょうか?
企業といった大きな話でなくとも、例えば、営業員なら成績を水増しするといったことをしたことがあるのではないでしょうか?(営業員は多かれ少なかれ水増ししないとやっていけないので攻めているわけではありません。)
そういった、成績を水増ししてなおかつ帳尻合わせることがうまいやつが社長になるのですから、出てくる情報もお察しかと思います。
時間軸がズレる
有名なアナリストが「株価とは半年先の業績を反映している」と言っているのを耳にしたことがあるかと思います。
一方で、ファンダメンタル分析の基礎となる財務諸表は、決算時点での情報になります。
おわかりの通り、半年先の株価を予測するのに過去の決算情報をもとにしても意味がありません。
昨今のような大暴落があると「現在のPERは9倍程度で割安である、過去もここの水準で反転している」という人がいらっしゃいます。
しかし、PERは暴落前の情報であるため、大暴落を受けて実際の経済にどういった影響があり、今後どうなるのかは判断できません。
材料出尽くしの罠
私が証券会社で働いているときによく思っていたのが、
悪材料が出ても株価が下がる銘柄と下がらない銘柄がある
ということです。
同じ業績の下方修正であっても、下がる銘柄は「業績不振で下がった」と評価されるのに対し
上がった銘柄は「悪材料出尽くしで上がった」と評価されます。
これが材料出尽くしの罠です。
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りとなります。
- ファンダメンタル分析は多くの人が使っているがデメリットが多い
- 特に日本市場は企業が出す情報に信頼がない
- 間違った情報を元に取引してもいいことは一つもない
これまで見てきたように、ファンダメンタル分析は値動き対して後付で理由をつけているということになります。
値動きが先で根拠が後では株価予測としては使い物にならないということです。
では、視点を変えてどうして使い物にならない手法が大勢を占めているのでしょうか?
それは、人が理由を求める生き物だからです。
例えば衝動買いをしてしまったときにも、「つい買ってしまったけど、欲しかった物だしいっか」と考えるように、株価が大きく動いた際に「どうしてこんなに動いたのか」という理由が知りたくなります。
そこでアナリストは、もっともらしい理由を我々に提供し、日々お金を稼いでるわけです。証券会社側がお金を稼げる手法を否定することは絶対にありません。
投資を始める理由は、多かれ少なかれ儲けたいという気持ちがあるからだと思いますが、儲けたいなら多数派が占めるやり方ではない手法を取り入れることをおすすめします。
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