はじめに|S&P500が急落する歴史的瞬間に私たちは立ち会っている
2025年4月、世界の金融市場が大きく揺れています。トランプ大統領の関税政策と中国の報復措置により、S&P500がわずか2日間で10%以上も暴落するという歴史的な事態が発生しました。この急落は2024年の上昇分をすべて吹き飛ばし、多くの投資家が「S&P500の底値はいつなのか」と不安を抱えています。
このような市場の混乱時こそ、冷静な判断が求められます。S&P500の底値を正確に予測することは誰にもできませんが、歴史的なデータと現在の市場指標から、どのような投資判断をすべきかを考えることは可能です。今回は、S&P500の底値に関する分析と、この状況下での積立投資や追加投資の考え方についてご紹介します。
S&P500の急落|歴史的な数字で見る今回の暴落の深刻さ

今回のS&P500の下落は単なる調整ではありません。わずか2日間で10%以上下落するという事態は、1929年以降でもたった7回しか発生していない極めて珍しいケースです。この7回には、1929年の暗黒の木曜日(世界恐慌の始まり)、1987年のブラックマンデー、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックなどが含まれています。
S&P500は4月初めには5700ポイント付近まで上昇していましたが、4月3日と4日のわずか2日間で5074ポイントまで急落しました。これはちょうど1年前の水準に戻ったことを意味します。恐怖指数とも呼ばれるVIXも40ポイントを超え、2022年以来の高水準を記録しています。
このような急激な下落は多くの投資家にとって恐怖を感じさせるものですが、長期投資の観点からは「安く買える機会」と捉えることもできます。問題は、この下落がまだ続くのか、それともすでに底値に近づいているのかということです。

冷静に考えれば、投資を始めるいい時期なのかも
S&P500の底値はいつか|過去の暴落パターンから読み解く

S&P500の底値を正確に予測することは不可能ですが、過去の大暴落のパターンから学ぶことはできます。歴史的に見ると、株価の大暴落には以下のようなパターンがあります。
- V字回復型: コロナショック(2020年)のように、急激な下落の後に素早く回復するパターン
- U字回復型: リーマンショック(2008年)のように、底値で一定期間横ばいになった後に回復するパターン
- L字型: 日本のバブル崩壊のように、長期間回復しないパターン
今回のトランプショックがどのパターンになるかは、今後の経済指標や政策対応次第です。ただし、アメリカ経済の基礎体力や企業業績を考えると、L字型になる可能性は低いと考えられます。
重要なのは、底値のタイミングを当てようとするのではなく、自分の投資戦略に忠実に従うことです。歴史的に見ても、最高のタイミングで売買することは、プロの投資家でも難しいとされています。

V字型かU字型をメインシナリオとして考えていけば良さそうだね!
積立投資と追加投資|S&P500が下落局面の今買うべきか
市場が大きく下落している今、多くの投資家が「今がS&P500を買うべきタイミングなのか」と考えています。この問いに対する答えは、あなたの投資スタイルによって異なります。
積立投資を続けている方へ
積立投資を行っている方は、今まで通り投資を続けるのが賢明です。株価が下がっている時こそ、同じ金額でより多くの口数を購入できるため、長期的には有利に働きます。これはドルコスト平均法の利点であり、市場のタイミングを計る必要がないという大きなメリットがあります。
株価が下がると不安になるのは自然なことですが、歴史的に見れば、S&P500は長期的には右肩上がりで成長してきました。過去72年間で1600倍もの成長を遂げているのです。積立投資を続けることで、このような長期的な成長の恩恵を受けることができます。
追加投資を検討している方へ
一方、積立投資とは別に追加投資(スポット購入)を検討している方は、以下のポイントを考慮すべきです。
- 暴落用資金の準備: 生活防衛費や緊急資金とは別に、市場の暴落時に使える資金を事前に準備しておくことが重要です。
- マイルールの設定: 感情に左右されず機械的に判断できるよう、「週間株価下落率が5%を超えた時」「VIX指数が40を超えた時」など、自分なりの投資ルールを決めておきましょう。
- 段階的な投入: 資金を一度に全投入するのではなく、「一回に暴落資金の20%」など段階的に投入するルールを設けることで、さらなる下落リスクに備えることができます。
- インデックスへの投資: 個別株ではなく、S&P500などの幅広い市場を反映したインデックスに投資することで、特定の企業のリスクを分散できます。
追加投資は長期投資家にとって資産を増やす良い機会となりえますが、あくまで自分の決めたルールに従って冷静に判断することが重要です。

マイルールを設定して追加投資にチャレンジするいい機会かも!
プロの投資家に学ぶ|市場暴落時の心構えと実践的アプローチ

市場が大きく下落している時こそ、長年の知恵が詰まった投資の名著から学ぶべきです。チャールズ・エリスの「勝者のゲーム」では、「稲妻が輝く瞬間に市場にいなければいけない」という重要な教えがあります。
これは、市場の最高のタイミングを捉えることは極めて難しいため、常に市場に居続けることが重要だという意味です。実際、過去72年間のうちベストな5日間を逃すだけで、配当再投資した場合の利益の50%が失われるというデータもあります。
プロの投資家たちは、このような市場の暴落時に次のようなアプローチを取ることが多いです:
- 感情をコントロールする: 恐怖や貪欲に動かされず、冷静に判断する
- 長期的な視点を持つ: 短期的な変動に一喜一憂せず、長期的なトレンドに焦点を当てる
- 分散投資を徹底する: 一つの資産クラスに集中せず、リスクを分散する
- 自分のルールに忠実になる: 事前に決めた投資ルールに従い、一貫性を保つ
- 市場に居続ける: タイミングを計るのではなく、継続的に市場に参加し続ける
これらの原則を守ることで、S&P500が底値を付けるタイミングを正確に予測できなくても、長期的には成功する可能性が高まります。
まとめ|S&P500の底値を追うよりも長期的な視点を持とう
S&P500の底値がいつになるのかを正確に予測することは、プロの投資家でも難しい課題です。しかし、長期投資の観点からは、「底値を当てる」ことよりも「市場に居続けること」の方が重要です。
積立投資を行っている方は、今まで通り投資を続けることで、低い価格で購入できるチャンスを自動的に活かすことができます。追加投資を検討している方は、事前に準備した資金を使い、自分のルールに従って冷静に判断することが大切です。
市場の暴落は不安を感じさせるものですが、長期的な視点で見れば、こうした下落局面こそが将来の大きなリターンの種を蒔く機会となります。S&P500の底値がいつかを当てようとするのではなく、自分の投資戦略に忠実に、長期的な視点で行動することが、結果的に良い投資成果につながるでしょう。
今回の2025年4月のトランプショックも、数年後に振り返れば、良い投資機会だったと評価される日が来るかもしれません。長期投資家は「気絶投資」(感情に左右されず淡々と投資を続けること)を心がけ、市場の変動を乗り越えていきましょう。
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